なるほど、確かにシートは擦り切れているし、キャビン全体がタバコのヤニや日焼けで薄汚れている。だが、だからと言って、簡単に請け負うわけにはいかない。「壊れた部品を交換するなど、工程や目的がはっきりした作業なら見積もりもすぐに出せますが、『全体をピカッとさせたい』というようなイメージ的なオーダーになると、想像以上の労力と時間が必要になりますよ」と、なんとか思いとどまってもらうよう説得に努めた。
だが、実際、2代目セルシオが買えるくらいの費用がかかる可能性もあるというのに、そのユーザーは、「どれだけの時間と費用をかければ、どこまで綺麗に生まれ変われるのか見てみたい」と大乗り気。そこまで言われてしまってはと、とうとう本気で取り組む覚悟を決めた。
さて、今回はある修理工場で、つい最近実際にあったちょっと変わった作業事例を紹介しよう。
クルマはH2年式の初代セルシオ。コトの始めは車検だった。その工場は通常の整備のつもりでクルマを預かろうとしたところ、ヘビースモーカーだというユーザーから突然次のようなオーダーが入った。「内装が汚いし、みんなからタバコ臭くてしようがないと文句を言われる。なんとかならない?」
クルマはH2年式の初代セルシオ。コトの始めは車検だった。その工場は通常の整備のつもりでクルマを預かろうとしたところ、ヘビースモーカーだというユーザーから突然次のようなオーダーが入った。「内装が汚いし、みんなからタバコ臭くてしようがないと文句を言われる。なんとかならない?」
何とか直せない?
シートを分解し、それぞれから使える部分を取り外す。
補修・塗装を施し組み立てもの。
お互いの思いをひとつに
最初に工場が取り組んだのは、ユーザーとの間の信頼関係作り。お互いに「任せている」、「任されている」という認識を共有するためにじっくり話し合い、作業の目的を「室内を綺麗にすること」と「脱臭」の2点と決めた。
そして、いよいよ作業開始。傷ついたり、日焼けで変色しているシート、ダッシュボード、ステアリングホイール、リアトレーなどは全て取り外して補修・塗装する。パーツの裏側に付いているスポンジなどのクッション材には、タバコの匂いが染み付いているのですべてワンオフで作成して交換。ルーフライニング、カーペットは生産中止で入手不可能なため、クリーニングして再使用した。
そして、いよいよ作業開始。傷ついたり、日焼けで変色しているシート、ダッシュボード、ステアリングホイール、リアトレーなどは全て取り外して補修・塗装する。パーツの裏側に付いているスポンジなどのクッション材には、タバコの匂いが染み付いているのですべてワンオフで作成して交換。ルーフライニング、カーペットは生産中止で入手不可能なため、クリーニングして再使用した。
こうして、知恵と工夫と現場合わせの作業を続けること1ヶ月。総費用約60万円のクリーニング大作戦は完了した。もちろん、出来上がりを見たオーナーも「ここまで出来ちゃうんだ、すごいね」と大満足だった。
参考価格
約60万円 工期:約1ヶ月
取材協力
株式会社フラット